大動脈解離スタンフォードAは、とてもやっかい

大動脈の疾患には、大きく分けて大動脈解離と大動脈瘤がある。

大動脈とは、心臓から出た始まりの太い血管のことで、心臓から出てから大脳などの心臓から上の身体へ血液を送るために上に向かい(弓部)、その後、下へ向かって胸部や腹部、腰、足など全身に血液を送るようになっている。

今回、私がなったのは、解離。

大動脈疾患に「解離」と「瘤」という言葉が出てくるが、解離とは大動脈の血管が層状に剥がれること、瘤とは大動脈が袋状または瘤状にふくらみ、大動脈の壁が薄くなることだ。

 日本はイタリアと並んで大動脈疾患の多い国らしいが、その診断と治療はなかなか難しいようだ(※7)。著名人や俳優などでも大動脈疾患にかかったり、それが原因で亡くなる方が多く、ときおり話題になったりする。大動脈疾患でやっかいなのは、予防や診断がしにくく、自覚症状がなかなか出にくいことだ。

 大動脈解離(急性)では胸や背中に疼痛や激痛があるなどする。大動脈瘤のほうも腹痛や腰痛などが出ることなどがある。胸部の大動脈瘤の97%は胸部レントゲン写真で、腹部の大動脈瘤の66%が触診で発見されているようだ。胸部の大動脈瘤では、声がかすれたり、食べ物などを飲み込みにくくなるなどする。また、腹部の大動脈瘤のリスクファクターは「男性・65才以上・喫煙(歴)・高血圧・家族歴」などだ(※7)。

受動喫煙は家庭外のほうが影響大
 この大動脈疾患、年々増えている。十年ほど前に死因のワースト10に入った。また、60代、70代の男性のほうが発症例は多い。自覚症状が少ないこと、発病すれば大動脈が破裂するなどして短時間で死亡するケースが多い(93%が24時間以内に死亡:※7)ことなどから、統計に反映されていない数も含まれると思われる。